安倍首相の所信表明もおこなわれましたが、本音を隠した中身のないモノだと感じられました。
争点隠しはしないとテレビ番組などでも言っているようですが、憲法改悪、国防軍、原発や領土問題、沖縄基地・オスプレイ問題など、すでに様々に国民との矛盾が明らかになっているもとで、それでも参議院選挙までは経済対策一本に絞ってそれ以外には何とか口をつぐんで乗り切ろうという魂胆が見え隠れしているのではないでしょうか。
そもそもその経済政策にしても、消費税増税をしたいがために景気回復をしたという口実がほしい、そのための物価上昇目標です。雇用や賃金は企業任せで、これではどんなに株ばかり上がっても首切り・リストラの嵐と人件費抑制の流れは止まりません。政治の力で規制をかける必要があります。賃上げ目標を設定し、家計の消費を温める政策にしない限り、物価だけ上がっても賃金は上がらず、庶民はますます苦しい生活に追いやられることになります。
また政府の計算ではパソコンや携帯・スマホなども物価に反映されることになりますが、これらの家電などは新製品のペースが速くすぐに値下がりするため、物価目標にとってマイナスに働き、どうしても物価目標を達成しようとすれば、食品や衣類、生活雑貨、日用品など、生活に欠かせないものが大幅に値上がりする必要がります。これでは、とても暮らしていけません。政治のやるべきことをはき違えている、庶民の生活のことは全く視線に入っていないと言わざるを得ない暴論です。
しかも自衛隊を国防軍にするという策動も、重大な問題をはらんでいます。軍隊というのは、それだけで文民統制から逸脱する存在であるということは、歴史と事実が明らかにしています。
わかりやすい例でいうと、海上自衛隊の「あたご」と漁船が接触事故を起こした裁判でも、今は軍隊ではないので、通常の裁判所で、すべて公開されて、判決に不服があれば控訴でき、民間人と自衛隊とが公平に扱われることになっています。
しかし軍隊になってしまえば、軍が絡んだ事件・事故はすべて軍事裁判所で、秘密裁判で軍人が裁くことになります。民間人と軍人のトラブルを軍人が裁いたら、どんな結果が出てくるか誰が考えても明らかではないでしょうか。しかも軍事裁判には一審しかないので、不服でも二度とやり直しはありません。
自国の軍隊が自国の国民の権利を不当に奪うことは戦前の日本だけでなく世界中で起こっており、武力や戦争では平和は作り出せないというのが、世界人類の知恵と理性の現在の到達点です。事実、冷戦時代には世界中を覆っていた軍事同盟は、今やたった3つしか機能していません。いずれもアメリカを中心とした米日、米韓、NATOです。
これに対して、地域のことは地域の中で平和的な話し合いで解決する、武力や軍事同盟に頼らない地域の組織。平和的安全保障の考え方が、世界に広がりつつあることをご存知でしょうか。
日本の平和憲法も、その第2項で戦力の不保持を謳っているからこそ、平和憲法として世界に認められています。第1項にあたる平和を求める条文は、他の国の憲法にも見て取ることができ、第2項あってこその日本国憲法だということをはっきりさせる必要があります。
自民党改憲草案ではこの第2項を削りながら第1項があるから平和憲法だなどと強弁していますが、とんでもないごまかしです。
成人式の際新成人のみなさんからも、また昨年の学生議会で学生議員のみなさんからも、異口同音に、国と国の間に問題があっても人と人は仲良くしたいという言葉が聞かれました。
国と国の間の問題を戦争にせず、話し合いで解決するのが政治の仕事です。
そのためには、軍備増強や軍隊整備では、エスカレートして戦争に進む道につながります。相手に軍縮を迫るならば、まず自分が軍縮をする、あるいは一緒に軍縮をする、これが当たり前ではないでしょうか。自分は軍拡で相手だけ軍縮をしろなどということは通りません。
平和でなければ仕事も暮らしも成り立たない、そのためにも憲法改悪反対、国防軍反対です。
夏の参議院選挙で、改憲勢力の議席を増やさせない、そのためにも、日本共産党の議席をぜひ大きく伸ばしてください。どうぞよろしくお願いいたします。